増減率の平均値の罠

雑記

株価成長率や増配率などに関する記事やブログといった書き物を見ていると、過去10年や20年間での増減率は平均したら年間で+●%伸びるといった内容を見ることがあります。
このあたり、額面通りに受け取ってよいものなのか悩みます。
本日はこの増減率をテーマに書いていこうと思います。

例えば、投信あるいは個別株において、以下のように株価が推移して5年後に同じ株価になるケースがあったとします。
1年目|10,000万円
2年目|11,000万円(前年比+10.00%)
3年目|10,000万円(同△9.09%)
4年目|11,000万円(前年比+10.00%)
5年目|10,000万円(同△9.09%)

この5年間の株価の増減率は5年目終了時点で変動していないので、±0.00%となるべきです。
5年目が1年目対比で100%なので、4乗して100%になる数字として100%を求めることで、成長率±0.00%と計算します。

しかし、毎年の成長率を単純平均すると誤った成長率が算出されます。
すなわち、「(10.00%-9.09%+10.00%-9.09%)/4=0.455%」とすると、5年後には株価が成長していないのに、平均して0.455%成長していると誤った結果になります。

先ほどの事例は10%しか変動がないケースを想定しましたが、変動幅が大きくなればなるほどこの誤差は大きくなります。
例えば、変動幅が30%の場合、成長率の単純平均は「(30.00%-23.1%+30.00%-23.1%)/4=3.45%」となります。
実際には株価が5年前と変わらず成長していなくても、その過程で乱高下があって、各年度の増減率を単純平均として成長率を求めようとすると、成長率は過度に大きく算出されることになります。

4%ルールのように有名な考え方であれば、さすがに資産の成長率は正しく算出されているかと思います。
一方、個人のブログや売れないアナリストの分析などにおいて、例えば「この株は増配率の平均が年+10%である」といった表現を目にしたりすることもありますが、こうした増減率の平均値の罠が仕掛けられていないかはやや気になります。

以下の表は、配当金が1年目の100円から5年目には150円に拡大したケースを想定しています。4乗すると+50%となるように成長率を求めると、「+10.67%」となります。
しかし、以下のように5年目での150円までの到達の経路の違いによって、各年の増減率を単純平均した結果に差が出ます。
特に差が顕著なのは減配があったケースです。この場合、正しい成長率である「+10.67%」に対して、「+16.14%」と過大になります。
高配当投資を行うものとしては、減配は望ましくないのでこのミスリードは致命的ですし、後半から配当金が伸びるより前半で伸びてその後は頭打ちになってしまっているケースの方が単純平均で求めた成長率が高くなってしまうのもいただけません。

 前半好調 
配当金
 前半好調 
増減率
 後半好調 
配当金
 後半好調 
増減率
 減配あり 
配当金
 減配あり 
増減率
100ー100ー100ー
12020.00%1055.00%12020.00%
14016.67%1104.76%80-33.33%
1453.57%13018.18%13062.50%
1503.45%15015.38%15015.38%
単純平均10.92%単純平均10.83%単純平均16.14%

「配当金の成長率が毎年+10%です!」のような表現に騙されて過大に受け止めることなく、正しく事象をとらえられるようにしたいところです。

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