前回は現在の資産状況と今後の目標について記載しました。
45歳で金融資産1億円に到達する計画を立てていますが、その後も仕事は継続して給与所得を得ることは続けていきたいと考えています。
そのため、過去にも記載しましたが「FIRE」を目標としてはおらず、かつ贅沢していきたいので「FI(経済自立)」を目標ともしておらずであり、「FIRE可能な状態」を意味する私の造語である「Fireable」を目指しているところです。
そのような目標を掲げてはいるところですが、アーリーリタイアした年齢によってどの程度の年間支出が可能であるかをシミュレーションすることは楽しくもあります。
今回はそんな思いのなかで生涯収支を簡単にシミュレーションしているため、その概要を書いていきたいと思います。
1 シミュレーションにあたっての参考情報(現在の支出と収入など)
シミュレーションを書くにあたり、参考として前提条件ともなり得る現在の支出や収入の状況を明らかにしたいと思います。ただし、「よその家のことにあまり関心はない」という方は、本項は読み飛ばしていただいても問題ありません。
我が家は夫婦+11歳の娘1人の3人家族です。
「支出」について、家計簿をつけているわけではないので正確な金額は分かりませんが、年間の支出額は600万円程度かなと思っています。
毎月の定常的な支出額は45~50万円ほどで、住宅ローン約9万円を含めて住宅関連費用が約12万円、中学受験を控える娘の塾代が4~5万円ほど掛かっています。贅沢はしていないつもりですが、過度な節約もしていないのでそれなりの支出額です。
また、非定常的な支出は30~40万円程度かなと思いますので、年間支出は約600万円となります(30~40万円は600万円からの逆算に近いのが本当のところですが…)。11歳の娘には私立中学に通わせたいと考えているので、来年度以降では塾代との差し引きで年間支出は50万円ほど増える見込みです。
「収入」にも目を向けてみますと、以前にも「世帯年収は1,900万円程度」と記載したところです。夫婦の内訳としては夫(わたし)が約1,750万円、奥さんが約150万円です。したがって、仮にわたしがアーリーリタイアすると世帯年収は大きく減少することになります。
また、わたしの年収はある程度頭打ちになっており、これから7~8年は1,800万円程度が上限になりそうです(その先は昇進すれば2,000万円、部長級までいければ2,300万円まで増える余地はありますが、なかなか競争が厳しそうです…)。
2 シミュレーションの前提条件
2025年度の配当金見込額は155万円です。
45歳までの7年間は毎年「新規投資400万円+配当金再投資+新NISAのSCHD240万円」だけ配当対象の投資が増えていくため、詳細は省きますが新規投資分に対して取得ベースの配当利回り3%を見込むと46歳になる年度の配当金は約300万円になると試算しています。
給与所得については、仮にアーリーリタイアするとしても、多少は規律的な生活を送ったり社会との繋がりを持ったりするために、最低でもアルバイトぐらいはして年間100万円ぐらいの給与所得は得たいと考えています。また、奥さんは仕事したいタイプの人間なので、奥さんの給与所得150万円はそのまま見込むことでいいと考えています。
さらに、60歳からは企業年金、65歳からは厚生年金の支給開始を見込みます。
厚生年金が約20年後も65歳から支給されるかは分からないですが、わたしは割りと国家の力を信じている方ですので、年金定期便で案内されているぐらいの年金は見込むことにします(年金を運用しているGPIFも数兆円規模の利益を出しましたし、今後も頑張ってほしい…)。
現預金については今後は新NISAに振り替えていくにせよ、現時点で2,000万円近く保有しているように、仮にアーリーリタイアして貯蓄を切り崩していく生活になるのであれば、現預金は厚めに持っておきたいタイプです。
上記の諸々に加えて、これまでに記載してきたとおり、45歳までは年間貯蓄額600万円は「株式投資:年間400万円」+「配当金:再投資」+「残額:預貯金」を見込みます。46歳以降はもう少し使っていくことに比重を掛けて、年間貯蓄額は例えば500万円とするなり、貯蓄のペースを落とすこともあり得ると想定します。なお、仮に46歳以降も年間貯蓄額600万円を継続するとしても、うち300万円は配当金で賄えるため給与所得からの支出額を増やすことが可能であり贅沢できそうです(そう考えるとワクワクします)。
ここまで文章でつらつらと書いてきましたが、これらをまとめて箇条書きにすると以下のとおりです。
<45歳時点>
金融資産:10,000万円
うち株式投資:7,6500万円(取得額)
うち新NISA:1,800万円(SCHD;1,200万円+再投資、オルカン:600万円)
うち現預金:550万円
配当金:300万円(株式投資+SCHDからの配当金)
3 シミュレーション
ここからようやく本題のシミュレーションです。
金融資産や年間支出額がいくら程度なのかを記載していきます。
(1)45歳(7年後)
年間の支出可能額は650万円、年代ごとの金融資産額や支出原資は以下のとおりです。
46~60歳
配当金250万円+給与所得250万円+貯蓄取崩し150万円=650万円
60歳時点の金融資産:7,750万円(うち株式投資7,000万円、うち現預金750万円)
61~65歳
配当金150万円+企業年金100万円+貯蓄取崩し400万円=650万円
65歳時点の金融資産:5,750万円(うち株式投資5,000万円、うち現預金750万円)
66~75歳
配当金100万円+企業・厚生年金300万円+貯蓄取崩し250万円=650万円
75歳時点の金融資産:3,250万円(うち株式投資2,500万円、うち現預金750万円)
76~85歳
配当金50万円+企業・厚生年金300万円+貯蓄取崩し200万円=550万円(減額)
85歳時点の金融資産:1,250万円(うち株式投資1,000万円、うち現預金250万円)
61~65歳の間は給与所得や配当金が減る一方で厚生年金の支給が開始されず企業年金頼みになるので貯蓄の切り崩し額が大きいですね。
66歳以降の配当金をどの程度で設定するか悩ましく、この試算上ではかなりの利回りが必要になります。66歳以降は10歳ごとに区切っており試算が粗いせいもありますが、本シミュレーション並みの配当金を得ようと思うと現預金比率を抑えて株式投資に振り向ける必要性が生じる可能性があり、後段のシミュレーションと比較すると株式市場の変動などによるリスクが大きくなってしまいます。
ただし、ざっくりと言えば常にそこそこの現預金を持ちながら安定的な運用を志向した場合であっても現在とほぼ同水準である650万円の支出は可能な見込みです。
(2)50歳(12年後)
46歳から50歳までは現在と同様に年間600万円を貯蓄する計画として、金融資産は13,000万円を見込みます。
この場合、51歳以降の年間支出可能額は800万円となり、現在以上の贅沢ができそうです。
51~60歳
配当金300万円+給与所得250万円+貯蓄取崩し250万円=800万円
60歳時点の金融資産:10,500万円(うち株式投資9,000万円、うち現預金1,500万円)
61~65歳
配当金200万円+企業年金150万円+貯蓄取崩し450万円=800万円
65歳時点の金融資産:8,500万円(うち株式投資6,500万円、うち現預金2,000万円)
66~75歳
配当金100万円+企業・厚生年金350万円+貯蓄取崩し350万円=800万円
70歳時点の金融資産:5,000万円(うち株式投資3,500万円、うち現預金1,500万円)
76~85歳
配当金50万円+企業・厚生年金350万円+貯蓄取崩し300万円=700万円(減額)
85歳時点の金融資産:2,000万円(うち株式投資1,500万円、うち現預金500万円)
5年間長く働くことで運用額が増えて配当金が増えますし、年金の増額も見込んでいるため、45歳でアーリーリタイアするよりもかなり余裕があります。
年間800万円の支出を見込んでも現金をかなり厚く持って安定的に運用することができます。
仮にリタイア生活の最中に市場が暴落することがあっても、これだけ現金があればどんと構えて市場の回復をゆっくり待てるので、これぐらいの余裕が欲しいですね。
また、インフレが進んだり年金制度が崩れたりしても年間支出額に余裕があるので吸収可能でありこの点でも安心度が増すことになります。
(3)54歳(16年後) ※ 中途半端な年齢ですがわたしの勤め先の役職定年に合わせました
46歳から50歳までは年間600万円の貯蓄を継続しますが、51歳から54歳は多少のボーナスステージとして年間500万円に減額することとして、54歳時点での金融資産は15,000万円を見込みます。
この場合、55歳以降の年間支出可能額は900万円となり、かなりの贅沢ができそうです。
55~60歳
配当金400万円+給与所得250万円+貯蓄取崩し250万円=900万円
60歳時点の金融資産:13,500万円(うち株式投資12,000万円、うち現預金1,500万円)
61~65歳
配当金350万円+企業年金150万円+貯蓄取崩し400万円=900万円
65歳時点の金融資産:11,500万円(うち株式投資10,000万円、うち現預金1,500万円)
66~75歳
配当金200万円+企業・厚生年金350万円+貯蓄取崩し350万円=900万円
70歳時点の金融資産:8,000万円(うち株式投資6,000万円、うち現預金2,000万円)
76~85歳
配当金50万円+企業・厚生年金350万円+貯蓄取崩し400万円=800万円(減額)
85歳時点の金融資産:4,000万円(うち株式投資1,500万円、うち現預金2,500万円)
年間900万円の支出に増額したとしても引き続き現預金を厚めに持てることを含めて余裕があります。
また、企業年金や厚生年金は50歳にアーリーリタイアした場合と同額とおいていますが、退職金は役職にもよりますが50歳以降であれば年間で200万円近く増えるため、一時金としてもらえる退職金の額も増えることになります(企業年金に算入できる金額には上限があるため一時金が増えることになります)。
本来はシミュレーションの前提条件や試算方法にブレがあるのはよくないですが、54歳まで働けば退職時には海外旅行で世界一周するなり家をフルリフォームするなり、このシミュレーションの外側で数百万円の一時支出をすることもできそうです。また、85歳時点で4,000万円残る計算になりますので、長生きリスクにも耐えることができます。
4 最後に
ここまでシミュレーションを記載してきましたが、現在の経済・市場環境や家計の状況を前提として仮定に仮定を重ねているため、実際にこのシミュレーションのとおりとなるかは分かりません。
例えば、収入面では「今後も配当利回りが3%程度得られるか」や「年金制度が崩れることはないか」、支出面では「インフレが進んでも耐えられるか」や「大病や災害などにより突発的な多額の支出が発生しないか」、ストックベースでは「国内株式市場が後退することはないか(要は暴落しないか)」、「金融犯罪に巻き込まれて多額の金融資産を失うことにならないか」など、様々な観点でリスクが潜んでいます。
こう考えるとやはり余裕を持った資金計画としたいところです。
現在の年間支出額600万円でもそれなりに満足していますし、何より経済基盤が安定しているという精神安定剤が金銭面以上の効果をもたらしてくれていると感じています。さらに言えば、今回のシミュレーションのように将来が良くなっていくことを思い描くことによる効用もあると思います。
ひとまずはこういったシミュレーションをして将来の安定や贅沢を夢に見ながら引き続き無理せず貯蓄を進めていきたいなと思います。