本日は株式の売却方針について書いていきたいと思います。
と言いつつ、正反対のことを書きますが、わたしの基本的な方針は「バイ アンド ホールド(買ったら売らない)」であり、なるべく売らないようにしています。
しかし、株式投資を始めたころは売買もしていましたので、その辺の過去からの方針変更を含めて記載しようかなと思います。
1 バイ アンド ホールド以前(売却基準:なし)
株式投資をはじめた初期の頃は、どの程度株価が上昇したら売却するかの目線は持たず、他の保有銘柄と比較して好調であり2割や3割程度上昇したら売却していました。
わたしは2016年3月にはじめて個別株を取得してから、Excelですべての売買取引や配当金受取を記録しています。
当時の売買取引を見るとあまりルールもなく売却時の株価の上昇率もバラバラでした。
初めて株式を売却したのは日本電子材料(6855)で、2016年3月に390円で取得して同年5月に471円で売却したものであり、約3カ月程度で約20%程度上昇した際に売却していたようです。
完全な結果論ですが、2025年8月1日時点で株価は2,331円まで上昇していますし、今期の配当予想は1株あたり50円です。当時の取得価額390円に対する税引後配当利回りは10.2%もあり、高配当株投資の目線でも大幅に目標を超過しています。
2 バイ アンド ホールド以前(売却基準:+35%)
株式投資をはじめて2年目に突入してからは、株価が+35%上昇したら売却する方針としていました。
「35%」にそれほど大きな意味はありませんが、税引後配当利回り3%を目標としていたため、+35%の売却益は税引後で+28%の利益になります。
そのため、約10年分の税引後配当利回りを確保できる水準であることもあり、+35%としました。
わたしの性格的には、「10年分の利益確保」とする場合には、例えば株価上昇+40%(=税引後利益+32%)のように10年を超える水準を目途としたくなるところではあります。
しかし、当初は「+40%上昇したら株を売ろう」と思って日々値動きを見ていると、たまたまだと思いますが、+40%まで上昇するする直前で打ち返されてしまい、+40%が実現できない株式がちらほら出てきました。
そのため、「+40%」の目標はちょっとシンドイのかな、と思って「+35%」に引き下げた記憶があります。
過去の取引記録を見ると、2019年11月にヒューリック(3003)の株式を取得価額882円に対して売却価額1,191円(+35.0%)で売却したのが、+35%を基準として以降で初めての株式売却でした。
余談ですが、上記のヒューリック株は、もともと日本ビューホテルとして株式を取得したところ、同社をヒューリックが買収したことによりヒューリック株と株式交換されたことにより取得したものです。
実は、ヒューリックはその後2023年8月に1,261円で改めて株式を取得しています。
税引後配当利回りが3%を超えていたり、PER・PBRに照らして割安であると判断して再取得したのだと思いますが、よく見ると2019年に1,191円で売却したのを2023年に1,261円で再取得していますので、結果的には売却せずに保有し続けていた方が得していましたね。
ただし、ここ数年で日経平均も大きく上昇しており多くの銘柄で株価は大幅に上昇しています。
ヒューリックをはじめ、市場が成長する過程において株価が上昇した銘柄を売却することで、当該売却資金を原資に他の株を取得して、それらの銘柄で多くの含み益や増配などの恩恵にあずかることができたと思っていますので、「保有し続けていた方が良かった」とは一概には結論付けられないだろうなと思っています。
3 バイ アンド ホールド
近年は能動的に株を売ることはなく、「バイ アンド ホールド」を基本としています。
わたしが保有している銘柄の株価上昇が顕著になったのは2020年度頃です。
新型コロナ発生で経済が停滞した折に金融緩和や財政出動が起こりましたが、これによってダブついた資金が株式市場に流れることで株価上昇に繋がったのかなと思っています。
このときにいくつか売却した銘柄もあるのですが、株価上昇のペースが早くて売りそびれた銘柄もありました。
そうこうしているうち、今度はコロナ禍が落ち着いたのか企業が筋肉質になったのか、世の中の配当プレッシャーも増してくるなか各社の増配基調が加速してきました。
さらには東証がBPR1倍未満(株価が1株あたり純資産を下回っており、理論的には会社を清算した方が株主に還元できる)を非難する考えを示したこともあり、増配傾向がさらに強まったと受け止めています。
上記が背景にあるのか、わたしが保有する銘柄でも、株価が+35%上昇したにもかかわらず時価ベースでも配当利回り3%超を維持する企業が多々出てきました。
となると、株式を売却しても引き続き同じ銘柄を取得したくなる気持ちがわき、それなら仮に売却・取得をして利益を確定しても税金や手数料を払うだけで無意味だなと思い、いよいよ売れなくなってしまいました。
いっとき、「株価が+35%まで上昇しても時価ベースの配当利回りが税引前で3%を上回っていれば継続保有する」といった追加ルールを設ける考えも浮かびましたが、当時は株価がぐんぐん伸びていて、「ここで売るのはもったいない」と考えると踏ん切りがつかずに結局は持ち続けていたという状況です。
結果的には、株式を保有し続けたことで株価上昇や増配に繋がっているため、幸運だったなと思っています。
そのため、これまで「わたしの投資方針はバイ アンド ホールドです」と言ってはいますが、実のところは過去に売ろうと思っても売り時を逃して継続保有してしまったのでもはやそれを方針としてしまっている、というのが実態を正しく表しているのかもしれません。
ただし、またまた結果論ですが、現在は保有銘柄が60社を超えてきたなか、ルールに基づいて売り買いしていくことのツラさもあると思います。
また、売買することの楽しさもありますが、銘柄数が増えてくれば各銘柄で多種多様な動きをしますので、売買に至らずとも株価の変動を眺めるだけでも十分楽しめる面もあります。
当初の「株価+35%上昇で売却」というルールをなし崩し的に撤廃してしまったというのが事の経緯ではありますが、「売却方針」という表題でありつつも、引き続き「バイ アンド ホールド」として長い目で株式投資をしていければと思っています。