4%ルールをどう考えるか

Fireable

4%ルールとは
早速ですが、皆さんは「4%ルール」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
このブログにたどり着くならば色々調べていてご存じかなとも思うところですが、Googleで「4%ルール」と検索すると、AIが以下のように概要を説明してくれましたのでご紹介します。

「4%ルール」とは、FIRE (経済的自立と早期リタイア) を目指す際に、資産を減らさずに生活するための考え方です。具体的には、年間支出の25倍の資産を築き、その資産を年4%で運用することで、資産を減らすことなく生活費を賄えるというものです。

AIの回答のように「生活費の25倍の金額を4%で運用すれば資産を取り崩さなくても生活ができる」と勘違いされることが多いのですが、実際にはやや異なります。

実際の運用にあたっては、毎年4%で安定的にリターンを得られるわけではありません。
当然、4%以上のリターンを得られる好調な年もありますが、例えばリーマンショックのように不況になれば収益が大きくマイナスとなる年もあります。
収益がマイナスの年にも生活費を確保しなければなりませんので、その分の資産を取り崩せば運用のタネが減るため、同じように4%のリターンを得ても生活費の確保には足りずさらに資産を取り崩す必要性が生じることも考えられます。

本来の「4%ルール」とは、「年間生活費を資産運用額の4%未満に抑えれば、30年経っても資産が尽きる可能性は低い」というものです。
したがって、「資産が減らない」ということではなく、「資産が枯渇する可能性が低い」とあくまで確率の世界で結論を出しているにすぎません。

なお、4%ルールを発表したトリニティ大学の研究(トリニティスタディと呼ばれていますね)では、資産が枯渇しない確率は「95%以上」とされています。
この「95%以上」との確率の算出にあたっては、米国の株式および債券を対象に調査期間を70年間と設定したうえで、当該70年間のなかから30年間を切り取ってシミュレーションすることによって、「95%以上」との結論を導いたとされています。

また、こちらも誤解が多い気がしていますが、「4%ルール」ではインフレも考慮されています。
米国の平均的な株価成長率「7%」と平均的なインフレ率「3%」の差分として「4%」とされています。
国内でも「FIRE」の考え方が広がって、ネットやYouTubeなどでは「4%で運用できればFIREできる」といった意見を目にしますが、上記の考え方に基づけば、仮にインフレ率が2%であれば運用リターンは6%を確保する必要があります。
近年は日米ともに株式相場は好調なので6%超の運用リターンを確保できている方も多いかもしれませんが、将来に渡って平均的に確保可能な水準と言っていいものでしょうか。
わたし自身は継続的に6%前後のリターンを確保できる自身は全くありません(一方でインフレは今後も2%前後は進むと想定しておいた方が、いざ更なる物価高になったときに気持ちが崩れることがなくて安心なんじゃないかなと思います)。

わたし自身は4%ルールをどう考えるか
非常に前置きが長くなりましたが、ここからはわたしが4%ルールをどのように考えているかを記載していきます。

わたしは高配当株を投資対象としていて、税引後の配当利回り3%を目安に投資しています。
いきなりの結論かつ「これしかない」という感じですが、したがって、わたしは「4%ルール」は自身にはまったく当てはまるものではなく、より保守的な3%のリターンを前提にシミュレーションをしています。

先日、以下のブログで生涯収支シミュレーションを記載しましたが、シミュレーションの前提としても運用資産に対して3%の配当利回りを目安と置いています。
ただし、各社増配傾向にあるなか、2025年度の配当金は取得利回りで4.41%まで上昇していますので、シミュレーションは3%強として設定しています。

「4%ルール」の原典である「トリニティスタディ」を十分に確認したわけではなく推測ではありますが、おそらく「4%ルール」では現預金はほとんど持たないことを想定しており、年間生活費を都度取り崩しているのではないかと思います。
この場合、仮に株式相場が暴落した年であっても安い株価で売却して現預金を確保しなければならなくなります。
これに対して、わたしは常に1~2千万円以上の現預金を確保する前提でシミュレーションしているため、これによって暴落時に安い株価で売却して運用資産を取り崩していくようなことを極力回避できるといいなと思っています(そう上手くいかないだろうなと思ってもいますが…)。

なお、「4%ルール」ならぬ「3%ルール」的な捉え方をしてはいますが、トリニティスタディのようにインフレ耐性はあるはずだとは思っています。

というのも、インフレが進んで物価水準が2倍に上がった場合を考えると、現在1万円の値段が付くものは2万円の値段が付くことになります。
仮にすべての物価水準が等しく上がったのだとすると、おそらく1億円の利益を上げている企業は稼ぐ力が変わらないとしても2億円の利益を上げることになると考えられ、この場合、株価は2倍になるとともに配当金も2倍に増えることが想定されます。

現預金はインフレによって価値が目減りしますが、取得した株式は株価も配当金もそれぞれインフレに対応して上昇なり増額なりするため、インフレ耐性があると考えてよいのではないかと思っています。
よく、YouTubeなどでFIREに対して「インフレを考慮すれば資産が足りない」という意見を目にすることがありますが、インフレそのものによって企業価値が毀損したり株主還元力が低下することにはならないと考えていますので、現預金ではなく株式として保有しているのであれば「インフレを考慮して余計に運用資産を積上げる」ということは不要なのではないかと考えています。
ただし、上記はあくまですべての物価水準が等しく上昇することを想定しているなど、仮定に基づくものですので、実際には運用資産を幾ばくか上乗せすると心の安定に繋がるのかなとも思っているところです。

最後に
今回も「4%ルール」に対するわたしなりの考え方を徒然に書いてみました。
論点のヌケモレや考慮不足な内容などが多々あるだろうと思いますが、会社で作成する資料ではないのでそういったことは気にせず好き勝手に書いてみました。
「あ、こういう考え方や目線で投資をしている人がいるんだな~」ぐらいに軽く捉えてもらえればいいのかなと思います。

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